生成AIはビジネスシーンや日常生活などでも活用されていますが、万能なわけでありません。「できること」と「できないこと」があります。
まずは定型業務の効率化です。生成AIには様々な種類がありますが、一例として「文字起こし生成AI」を活用した場合の業務効率化について見ていきましょう。入力された音声を自動認識してテキストに変換する文字起こし生成AIは、会議の内容を文章にして議事録として保存したり、コールセンターの応対時の録音データを文章にしてシステムに登録したりする際に活用されています。手作業で議事録を作成するよりも手間がかからず、録音データを聞き返したりする必要もないため、業務の効率化が図れます。
次にクリエイティブな提案を支援できることです。例えば、ある小説家が新しい小説を書こうとしているとしましょう。主人公像について漠然としたイメージはあるものの、細部に関してよいアイデアが見つからず困っています。そんな時に「主人公は20代前半で口癖が特徴的、何かよいアイデアはないか」といったように自分の頭の中で考えている情報を生成AIに与えると、いくつかのアイデアを提案してくれます。ぼんやりしたイメージが具体的になるため、執筆も捗るでしょう。
そして、生成AIはコスト削減にもつながります。例えば、マーケティング活動の一環としてある製品の紹介動画を制作するとしましょう。これまでは使用するイラストを外部のイラストレーターに外注していました。しかし、画像生成AIを活用すれば自社で作成できるため外注する必要がなくなります。コストも大幅に削減できるでしょう。
また、生成AIを活用することで顧客との関係も強化できます。購買履歴や好みをデータ化して生成AIで分析することでパーソナライズされたコンテンツや製品を提供できるため、リピーターの増加や長期的なロイヤリティの向上につなげられるでしょう。
生成AIはディープラーニングによる機械学習を繰り返すことで、オリジナルのコンテンツを生み出すAIです。人間と同じように、自ら考えてコンテンツを作り出すわけでありません。与えられた情報やデータにもとづいてコンテンツを作ることはできても、感情を読み取り1人ひとりに合わせたオリジナルのコンテンツを提供することはできないのです。
人間の感情に寄り添い、人間のように考えることができるAIを「AGI(汎用人工知能)」といいますが、現実にはまだ存在していません。とはいえ、AI技術はまだ発展途上です。もしかしたら予想よりも早くAGIが登場する可能性もあります。